トルコ開催の国際音楽フェスティバルは、トルコ音楽に背を向けている
2009年06月21日付 Zaman 紙
世界的に有名なウード奏者であるメフメト・ビトメズ氏が、6月26日にレバノンの首都ベイルートで開催される国際ウードコンクールに審査員として招かれた。トルコで行われる国際音楽フェスティバルが、トルコ音楽を軽視していると語るこの音楽家は、「イスタンブル2010文化都市」のため提出したプロジェクトの行く末も心配している。
世界的に有名なトルコ人ウード奏者であるメフメト・ビトメズ氏の名を、もっぱら今時のポピュラー音楽ファンは聞いたことがないかもしれない。なぜなら彼は、どんなワイドショー番組にも姿を現さず、芸術を政治と混ぜた演説など行わないからである。しかしながらビトメズ氏は、東洋音楽あるいはトルコ音楽に関して、国際的な催し物が行われる際に、最初に想起される一人なのである。最近では、「三つのウードの音」という忘れがたく素晴らしいプロジェクトを行い、同時に大学の講師も勤めているこの音楽家は、今日まで、その数を自身でも覚えられないほどたくさんの国際フェスティバルに参加してきた。
メフメト・ビトメズ氏は6月26日にレバノンで開催される、第一回国際ウードコンクールに審査員として招かれた。レバノン・アラブ音楽アカデミーによって開かれる、世界で初めての国際ウードコンクールで我が国を代表して出席するビトメズ氏は、各国からの審査員の長をつとめるかもしれない。メフメト・ビトメズ氏の弟子の一人もこの国際コンクールでトルコを代表する。コンクールの第二回目は、来年シリアの首都ダマスカスで行われる予定である。
ビトメズ氏はコンクールから招待をうけ、喜ぶと同時に、残念な思いもした、と語る。喜びの理由は、世界で初めて開催されるこのようなコンクールで自国を代表すること。遺憾に思った理由はというと、このコンクールがどうしてトルコで開かれなかったのかということ…。「トルコ音楽は元々私たちの土地だけではなく、全ての周辺地域を代表しています。ウードのような楽器はこの地域の特色と言えるでしょう。このようなコンクールは私たちの国に、より向いていたはずです」と語る音楽家は、我が国で行われる国際フェスティバルの運営が、トルコ音楽に背を向けていると表現する。トルコ音楽に関する多くのプロジェクトを官僚主義的障壁のせいで実行できないと、不平をもらすメフメト・ビトメズ氏は、この理由として、政府の関連省庁に、この件を理解する人物がいないことを指摘している。
ビトメズ氏の最も大きな夢は、その名称を登録商標とした「東洋音楽大会」プロジェクトの実現である。トルコにおいて今日までに音楽のために開かれた、最も包括的な活動となり得るこの大会では、世界中全ての場所から素晴らしい顔ぶれが集まるシンポジウムが実現される予定である。ビトメズ氏は今年審査員メンバーを務めるウード・コンクールの三回目を、このシンポジウムの枠組みの中で、トルコにおいて実現させるよう目指している。
■「文字の音楽」プロジェクト、2010年にイスタンブルで開催予定
メフメト・ビトメズ氏は、「2010年イスタンブル・ヨーロッパ文化首都」企画へ最初にプロジェクトを提出したうちの一人である。2010年のため、「29番目のメルディイェン」、「ファラービー・ズィルヤプ」、「金角湾の詩」のような多くのプロジェクトを計画する氏の、最も興味る深い企画はというと、「文字の音楽」と名づけられたものである。この企画では、17世紀から20世紀までの、書道と作曲を行ったことで知られるオスマン時代のスルタンたちの曲を演奏し、その間、舞台では書道家の実演パフォーマンスが行われる。
「2010年イスタンブル・ヨーロッパ文化首都」主催部にプロジェクト企画を提出したところ、とても大きな反応を得たと語るビトメズ氏は、今現在このプロジェクトがどうなるか、心配している。ビトメズ氏はプロジェクトに関して、何の情報も得られていないと述べ、「イスタンブルの、ただ西洋へ向いた面だけではなく、伝統的な面も反映させられなければいけません。私はこの土地で積み重ねられてきたものを、次の世代につなげるように努めています。このようなプロジェクトを、外国からきた誰かが提案したなら、すぐにとびついただろうと思います。私たちはこのプロジェクトを別の目的でつかったりはしません。生きていく上で人々と分かち合うこと、そして私たちの文化へ貢献したいと望んでいます。関係者は、これに支援を与えるべきです」と語る。
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( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:16760 )