シリアの核開発疑惑がIAEA理事会の議題に
2010年02月20日付 Al-Ahram 紙

■シリア、デリゾールの施設で核開発の疑い

2010年02月20日付アル・アハラーム紙(エジプト)HPアラブ世界面

【ウィーン:ムスタファー・アブドゥッラー】

 IAEA(国際原子力機関)の公式スポークスマンは、イスラエルが2007年に破壊したシリア、デリゾールの施設で見つかったウランの痕跡は、その施設が初期段階の原子炉であったことを指し示していると述べた。

 この施設は北朝鮮の設計で、兵器製造に使用されるレベルのプルトニウムを製造するためのものである可能性が高いという。

 国連機関であるIAEAが、イスラエルが爆撃した標的は秘密の原子炉だったのではないかとの、西側諸国が抱いている疑念を確認したのはこれが初めてのことである。

 IAEA事務局長、天野之弥氏は報告書で、シリアはこれまで破壊された施設でウラン分子が見つかったことに対して十分な説明をしていないと述べて、「見つかった痕跡はイスラエルが施設の破壊に用いた弾薬によるものである」とするシリア政府の反論を退けた。

 また天野氏はIAEAの追加議定書に署名するようシリアに促した。そうすれば公表されている核施設の範囲を越えて、制約なく査察を行うことが認められ、秘密裏に行われるいかなる核開発の動きも発見することができるようになるためだ。

 報告書によると、シリアは先月ダマスカスでこの問題を議論するための会合を開くことを拒否したが、査察官たちはさらなる検査用サンプルを採取するため、2月23日に研究用原子炉を訪問するつもりだという。一方シリアは原爆の製造計画などかつて無かったと主張し、諜報機関の情報は虚偽のものだとしている。

 またこの報告書によると、シリアは2008年6月以来、デリゾールの施設と、その施設と機能的に関連しているとされる他の3つの施設に関する未解決の問題に関して、IAEAに協力していないという。

  そのためIAEAは、未解決の諸問題の解決に向けて前進できずにいる。この問題は、イランが秘密裏に進めている可能性のある核兵器開発計画に関する懸念の増大と並んで、次のIAEA理事会の議題に入れられることになろう。35カ国によって構成される理事会は、3月1日に始まる。

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( 翻訳者:秋山俊介 )
( 記事ID:18539 )