リビア:リビア全土解放宣言
2011年10月23日付 al-Quds al-Arabi 紙


■アル=カッザーフィー殺害から三日、リビア全土解放宣言
■アブドゥルジャリール移行国民評議会議長、イスラームが法源となることを誓約
■サイフ・アル=イスラーム「ねずみども、NATOよ、地獄に堕ちろ」

2011年10月23日『クドゥス・アラビー』

【世界各国の首都:通信各社】

リビアの移行国民評議会のムスタファー・アブドゥルジャリール議長は、イスラーム法を尊重することを誓約した。この誓約は、昨日日曜(23日)のリビア解放宣言式典の際になされた。リビアは、それ以前の42年間個人支配の下にあり、ムアンマル=アル・カッザーフィーに従っていた。

同議長は、「我々はイスラーム国家として、立法のための基本的源泉とした。したがってシャリーアのイスラーム的諸原則に反するあらゆる法律は停止される。」と述べた。

移行国民評議会の議長は、日曜日夕刻にリビアで執行中の全ての法律を停止すると宣言した。停止対象となるのは、シャリーアと一致しない諸法律である。

アブドゥルジャリール議長は数万人のリビア人たちを前に、「シャリーアに反するあらゆる法律は、停止される。」と述べた。リビア人たちは、ベンガジ市にムアンマル・アル=カッザーフィー大佐の42年間の統治からの解放宣言を祝うために集まった人々である。

同議長は特にリバー[注:イスラームにおいて利子をさす]を扱う銀行法と妻を複数持つことを禁止する婚姻・離婚に関する法について[その停止を]強調した。

議長は「我々は、イスラーム銀行がリバーから縁遠いものとなるよう努力する。」と述べた。

また、同議長は、あらゆる「利息」の廃止を宣言した。廃止対象となるのは、1万ディナール以下の社会・住宅融資に課されていた利息である。

アブドゥルジャリール議長はリビア人に対し、「寛容、赦し、騒乱の封じ込め」の必要性を呼びかけ、これは「革命成功のための必須事項」とみなされると強調した。

また、同議長はイエメンやシリアの両人民が勝利を実現することが議長とすべてのリビア人の願いだと述べた。

一方、国民軍のウマル・アル=ハリーリー司令官は、軍を「科学的基盤に基づき、現代の軍の近代的進歩についていけるよう」再編成することを誓約した。

同司令官は式典での発言の中で、「国民軍は完全に国民と同盟し、軍の信条は祖国防衛・憲法堅守・民主主義の保護となるだろう。」と述べた。

移行国民評議会のアブドゥルハフィーズ・グーカ副議長は、「解放宣言だ。頭を高くあげよう。リビア人たちよ、あなたがたは自由人だ。」とベンガジの変革広場で大勢の群衆を前に語った。

しかし、この待望の宣言も陰気なものになるかもしれない。その理由は、アル=カッザーフィーが殺害された状況についての議論である。アル=カッザーフィーは、殺害される前に生きて捕らえられた。この件に関し、イギリス政府はリビア新政権の名声はアル=カッザーフィー殺害を巡る議論のせいで若干汚れてしまったと論評した。

移行国民評議会のNo.2、マフムード・ジブリールは、昨日(22日)朝公開されたアル=カッザーフィーの遺体について、同氏は病院通りでの交戦中に頭を銃で撃たれて殺害されたと発表した。また、評議会のある高官は、「遺体はアル=カッザーフィーの親族に引き渡される、彼等は、遺体の埋葬場所を移行評議会との協議によって決定するだろう。」と述べた。

(リビアは)600万人の人口を擁し、石油と天然ガスを大量に埋蔵しているおかげで、大変な幸福を享受する可能性を持っている。しかし、アル=カッザーフィーが煽ってきた地域的な対立がますます暴力をひきおこすかもしれない。その暴力はアブドゥルジャリール議長が率いる移行国民評議会を粉砕しうるものである。

ロンドンにある[欧州の危機管理大手のリスクアドバイザリーGの子会社である]ヤヌジアンセキュリティマネジメント社(Janusian)のヘンリー・ウィルキンソン氏は以下の通り述べた。「(リビアには)治安と政治の上で重大な隙間がある。その隙間では、一層の政治的相違、派閥、治安上の諸問題が形成されうる。(このことは)リビアの移行を逸脱させたり、長期化させたりする深刻な危機である。」

緑、黒、赤の旗(=移行国民評議会が用いた王政期のリビア国旗)の海と数万人の民間人と戦士を前に、新しい国家によって式典が開幕した。数万人の民間人と戦士は、「革命の首都」であるベンガジの広場に集結した人々である。また、ベンガジはトリポリから千km離れたリビア第二の都市である。次いで新指導部の高官が次々に演壇上で国の解放の喜びと誇りを述べた。彼らは自身のスピーチを「アッラーは偉大なり。」という言葉を叫びながら締めくくった。

この式典は、殺害されたリビアの指導者のアル=カッザーフィーの息子であるサイフ・アル=イスラームがリビアの移行政府とNATOに対する戦闘を継続することを固く誓うと述べた中で行われた。この誓約は、アッ=ラアイ放送局が昨日日曜日にダマスカスから放送した音声メッセージでなされた。

サイフ・アル=イスラーム氏は、録画された映像[訳注:アッ=ラアイ放送が放映したのは音声メッセージであり、映像ではない模様。]の中で「我々は抵抗を継続する。鼠ども、それからNATOよ、地獄に堕ちろ。」と述べた。この録画は、親アル=カッザーフィーでダマスカスにあるアッ=ラアイ放送局が放映した。

また、同氏は「私は、お前らとその後ろにいるNATOに地獄に堕ちろと言いたい。これは我々の国である。我々はそこに住み、そこで死ぬ。我々は抵抗を続ける。」とも語った。

メッセージは短いものであったが、このことはおそらく直接放送されたことを示している。また、サイフ・アル=イスラーム氏がメッセージを基に居場所が追跡されて、知られることを恐れてすぐにメッセージをおわらせることを選んだとみられる。

サイフ・アル=イスラーム氏の行方は依然不明である。この3日の間に移行国民評議会の戦闘員ら複数が同氏を拘束したと発表したが、その証拠は未だ示されていない。

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( 翻訳者:松尾愛 )
( 記事ID:24330 )