シリア:「ダーイシュ」は「ターリバーン」と同じ偶像破壊の道へ
2014年02月12日付 al-Hayat 紙
■「ダーイシュ」は「ターリバーン」と同じ偶像破壊の道へ
【ロンドン:本紙】
英「インディペンデント」紙は、シリアの「イスラーム原理主義勢力」が、ビザンツのモザイク画や古代ギリシア・ローマ時代の彫像といった考古学上重要な遺物を破壊する動きを見せ始めたと報じた。同紙のパトリック・コックバーン特派員が述べたところによると、それらが「人間を具現化している」からであるという。コックバーン特派員は「偶像破壊」と題した記事の中で、この破壊行為は2001年に「ターリバーン」が同様のイデオロギー上の理由からバーミヤーンの仏像を破壊したとき以来最悪のものであると明らかにした。
同特派員は、ユーフラテス川沿いにあるラッカ市で起きた6世紀のビザンツのモザイク画の破壊の責任は「イラク・シャーム・イスラーム国」(ダーイシュ)にあると指摘している。政府高官は同紙に対し、ラッカ市内の複数の遺跡について、「ダーイシュ」はこれらのモザイク画を15日前に爆破したと述べた。これは、トルコ人ビジネスマンがモザイク画の購入のために同市を訪問した後のことであり、この訪問がダーイシュの注目を引きモザイク画の爆破が急ぎ行われたということだ。
コックバーン特派員は、イスラーム原理主義者らはアレッポ県の古代ローマ時代の墓地や彫刻を破壊し、古代の彫像に実弾を発射してその一部を破壊したと付け加えた。
ダマスカスの文化省に務めるマアムーン・アブドゥルカリーム遺跡担当局局長は、イスラーム原理主義者らはシリアの考古学上重要な遺物に対し脅威をおよぼす存在であると強調した。シリアのローマ時代のキリスト教遺物を専門としている考古学の専門家は、シリアにおける危機が継続した場合には、同国の全ての十字架、モザイク画、ローマ時代の彫像が完全に破壊されるだろうと付け加えた。
コックバーン特派員は、シリアの遺跡が盗難・略奪にあっており、特にそれらは現地住民のトレジャーハンターによるものが多いと指摘した。また、盗難を試みた者の中には、エブラ遺跡で洞穴を掘ろうとブルドーザーを使用し、その際洞窟(どうくつ)が崩落したことで生き埋めになって死亡した者も一人いたという。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:前田悠作 )
( 記事ID:32937 )