小説『スパルタの宮廷』がアラブ・ブッカー賞を受賞(1)
2020年04月14日付 al-Quds al-Arabi 紙


■小説『スパルタの宮廷』がアラブ・ブッカー賞を受賞

【本紙】

アラブ小説国際賞審査委員会は、アルジェリア人作家アブドゥルワッハーブ・イーサーウィー氏の小説『スパルタの宮廷』(ダール・ミーム出版、2018)を第13回受賞作に選定した。最終リスト(ショートリスト)で受賞候補として挙げられていたのは、アルジェリアのサイード・ハティービー氏、同じくアルジェリアのアブドゥルワッハーブ・イーサーウィー氏、イラクのアーリーヤ・マムドゥーフ氏、シリアのハリール・ルッズ氏、レバノンのジャッブール・ドゥワイヒー氏、そしてエジプトのユースフ・ズィーダーン氏の作品であった。審査委員会は5名から成り、イラク人批評家で、ニューヨークのコロンビア大学教授(アラブ比較研究)のムフスィン・ジャースィム・ムーサウィー氏が審査委員長を務めている。その他の委員は、レバノンの批評家でありジャーナリストのピエール・アビー・サアブ氏、ロシア人研究者のヴィクトリア・ザリトフスカヤ氏、エジプト人ジャーナリストのリーム・マージド氏、アルジェリア人作家のアミーン・ザーウィー氏である。

審査委員会は『スパルタの宮廷』の選定理由を以下のように明らかにした。本作は、魅力的なストーリーラインを持つ作品であり、読者は一冊を読み終えるまで物語を離すことがない。また、文体の質の高さと語り口の多様性において卓越しており、後者によって読者はアルジェリアの占領の歴史、ひいては地中海地域全体における紛争史に没頭させられる。また本作は、作中の登場人物たちが具現化する交差する視点や異なる事件(といった要素)を盛り込んでいる。それゆえ、本作はまさに、占領下の状況と、それに立ち向かうための様々かつ拡大的な手段による抵抗がいかにして形成されるのかということの理解を読者に促すのである。さらに、深い歴史の首尾一貫した秩序を持つこの作品は、読者に今の現実を俯瞰させ、これに対する問いを起こさせるのだ。

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( 翻訳者:塚本梨咲 )
( 記事ID:48894 )