アルメニアの裁判所、アゼルバイジャン軍の傭兵として戦闘に参加していた2人のシリア人に終身刑(2)
2021年05月07日付 al-Quds al-Arabi 紙

■アルメニアがアゼルバイジャン側で戦闘に参加した2人のシリア人に終身刑を言い渡す…2人はシリア政府に引き渡されるのか?

【本紙:アンタキヤ】

一方、シリア人弁護士は「アルメニアがシリア政府へ2人の戦闘員を引き渡すとは考えにくい」と否定した。そして「アルメニアは、このカードを上手く使って、可能な限り最大限の利益を得るため、アゼルバイジャンやトルコに外交的圧力をかけようとしている」と強調した。しかし同氏は本紙への公式見解で「2010年にシリア政府とアルメニア間で締結された『犯罪者引き渡し協定』の存在を考慮すれば、彼らがシリア政府に引き渡される可能性もある」と付け加えた。そして「2人の戦闘員の裁判は基本的に、アルメニアが対立する当事者(アゼルバイジャン、アルメニア)に用いた外交的圧力の枠組みの中で行われる。後者(アルメニア)が裁判の条件を満たさなければ、その場合、2人はシリア政府に送還される。そしてシリア政府はそのことをトルコ攻撃のためのプロパガンダとして利用するだろう」と述べた。さらに「シリア政府はここぞとばかりに、トルコが自国の政治的アジェンダや利益のために、シリア国外の紛争にシリア人を傭兵として送ったと非難するだろう」と続けた。

紛争の当時者たちは「シリア人傭兵」の派遣をめぐって非難の応酬を行なってきた。アゼルバイジャン政府はトルコ政府がシリアから戦闘員を送り込んだとして非難した。(トルコの)政権与党である公正発展党の幹部は「アルメニアはトルコ政府がアゼルバイジャン軍に参加してアルメニア軍を攻撃するためにシリアの反政府側から戦闘員を送り込んだと非難しているが、実は(アルメニアによる)アゼルバイジャン国民への犯罪行為からメディアの目を逸らすため、アルメニア自身が傭兵を雇っていたことを隠蔽しようとしているのだ」と言明した。

トルコはアルメニアに対して、カラバフ地区に何百人ものシリア人傭兵を派遣した。それ以前はリビアで、退役将軍ハリーファ・ハフタル司令官率いる軍隊に対して(シリア人傭兵の派遣を)行った。一方、ロシアも、ハフタル軍を支援するため、シリア政府支配地域から、リビアへシリア人戦闘員を派遣した。アルメニアのニコル・パシニャン首相(現職)は、アルメニア軍からカラバフ地区で2人のシリア人戦闘員の身柄を拘束したという報告を受けて、その地域に送り込まれた外国人戦闘員の存在について国際的な調査を求めた。しかし、アゼルバイジャン側はそれを拒否した。昨年10月、ロシアとトルコの仲介のもとカラバフ紛争が停戦を迎えた。停戦合意にもとづいてアゼルバイジャンは、アルメニアが約30年間実効支配していた地域から3つの都市を奪還した。



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( 翻訳者:吉岡珠実 )
( 記事ID:51052 )