ヨルダン:アサド政権に向けた「現実主義的」政策(3)
2022年01月22日付 その他 - al-Souria.net 紙


■アサド政権に向けられたヨルダンの「現実主義的」政策のなかで

【スーリーヤ・ネット:ガーズィー・ダフマーン】

ヨルダン政府がアサド政権とともに対応することを呼びかけている新たなアプローチは、「不文律」、あるいはシリア危機を解決するためのイニシアチブといった枠組みのなかで策定され、「一歩一歩」の原則に基づくものであった。しかしそれが孕む問題は、形式上は、シリア政権に対して課されている制裁の緩和、同政権の平和的解決への対応状況、そして安保理決議2254号の内容の実施の間のバランスを取ることにある。また同決議で扱われているのは、難民の帰還、被拘留者の釈放、イランの民兵の撤退などといった交渉の余地がない議題である。しかし、実際のヨルダンの外交政策立案者は、あたかも「おお神よ、私にメッセージが届けられた。神こそが我が証人である」といった立場から、「不文律」の原則を忘れてしまった。

ヨルダンがいかなる対価を支払ったとしてもアサドとの正常化を急いでいるのは明らかであり、サファディー外相がワシントンを訪問し同地で声明を発した理由は、米政府が依然としてアサドとの正常化の動きに課している制約である。ヨルダンはシリア政府との正常化における円滑かつ柔軟なプロセスを志向していたようであるが、同様の動きにストップをかけた米国のレッド・ラインに面食らった。このようにしてサファディー氏は、制約を解除しアサド政権との正常化にむけてヨルダンを解放するよう、バイデン政権に圧力をかけているのである。

これまで複数の筋によって「シリアに向けているアプローチからヨルダンが望んでいるものは何か」という疑問が呈されてきた。特にシリアとの交易路の開放、シリアを経由した欧州・レバノンとの交易ルートの開放、ナスィーブ検問所の操業に加え、アラブ・ガス・パイプラインのシリアを経由したレバノンへの到達といった、ヨルダンの要求の大部分はすでに満たされているなか、である。そしてヨルダンの意思決定者は、同国の残りの要求がシリアによって実現されるものであることを認識している。具体的には難民の帰還やヨルダンによるヤルムーク盆地における水利権の取得などであるが、これらは国際的に課されている制裁とは何ら関係がなく、シリア政府をめぐる西側の立場とも全く関係がない。

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( 翻訳者:メディア翻訳アラビア語班 )
( 記事ID:52292 )