イラン:政治的「聖域」――ヘゲモニー指標としてのヒジャーブ(4)
2022年09月29日付 al-Quds al-Arabi 紙

【ムハンマド・サーミー・アル=カッヤール:本紙】

この意味において、ヒジャーブはイスラーム主義運動の「ヘゲモニー指標」とでも言えるようなものへと変容してしまった。つまり、様々な要求やグループを表し、多くの感傷的で文化的な意味にそれらを結び付けるような複合的な政治的プロジェクトを濃縮させた象徴になったのである。法律や暴力装置の力によってヒジャーブを義務とする諸国家―その代表格がイランである―は、そのプロジェクトを政治的な義務と為し、既存の権威を成立させる象徴のひとつと為したのである。これは多くの点で、ヒジャーブが単なる布切れであり、信念やライフスタイルに従って女性が着用を選べるものであるとみなす立場からとは異なるのである。ヒジャーブの着用は、着用者自身の意識が違っていたとしても、ウンマ・社会・アイデンティティー・文化概念への暗黙の了解なのである。そして、着用の拒否は、直接的であれ間接的であれ、イスラーム・プロジェクトへの反抗なのであり、「ウンマ」の周縁に位置する教義・人種・宗派上のマイノリティの立場をとることなのである。それは、ほとんどのアラブ・イスラーム諸国において心地よいものではない立場である。

この政治化された布切れをイランで燃やすことは、権力のヘゲモニー指標を粉砕しようとする試みを意味している。次に、それは国家の基盤構造および生政治に反して向けられた抵抗的な政治行動である。それは女性だけではなく、性別は違えどもムッラーの統治からの脱却を望む者たち全員を意味しているのである。

(5)に続く

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( 翻訳者:藤原路成 )
( 記事ID:54161 )