【ムハンマド・トゥルキー・ラビーウー】
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彼の死後数ヶ月後、バルキースはリフアトの生涯についてもう一冊本を書くことを決めた。60年にわたり連れ添った夫としてのリフアトではなく、建築史の研究者としての彼の伝記である。バルキースにそうさせたのはおそらく、イギリスのテムズ川に浮かぶ二人の暮らした家の空気の匂いであろう。リフアトの思い出の詰まった家には、建築や建築哲学についての著作や記事、彼の巨大な書斎の香りが漂い続けていた。
数週間前にダール・マダー社から出版されたこの新しい伝記では、バルキースはリフアトの建築プロジェクトの詳細と彼のキャリアが掘り下げられている。しかし、この伝記で新しいのはおそらく、リフアトのアメリカ合衆国での経験についての章に関することだろう。これはリフアト自身が過去複数の著作の中で書き留めてきた初期の経験と比べると、これまで多く触れられてこなかった内容である。この時期についてバルキースが覚えているのは、当時のリフアトの関心は人文学にあるようだったということだ。
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