イラク:古代メソポタミア文明の魔神、ラマシュトゥとパズズ(2)
2019年07月29日付 al-Sabah al-Jadid 紙
■メソポタミア遺跡の悪霊
【バクダード:ウンマール・ハミード・マフディー】
そのため、守護されている人間が信用ならない者であったり、嘘つき、姦淫者、酔っ払い、あるいは鬱や精神病を患っている者であったような場合、こういったマイナスの影響は彼らの守護神にも及んでしまうとされた。こうなってしまうと、彼はもはや恒久的な庇護を得られなくなり、精霊や悪魔、イフリート(訳注:イスラームにおける精霊の一種)や、今にも彼に襲い掛かろうとする多くのものが存在する悪い結果へ彼は導かれることになる。つまり、守護神があなたの元を離れたり、あなたが他人に対して不適切な行動を取ると、悪魔があなたを襲うのだ。
この悪魔や悪霊の類には、メソポタミアの伝説の中で非常によく知られているものがいくつかあり、例えば「ラマシュトゥ」という獅子の頭を持つ女性がいる。魔除け用の石像になっており、船の上のロバにまたがりながら、手と腰に巻かれた蛇によって狼や犬、イノシシに乳を与える姿をしている。ラマシュトゥが詳細に描写された絵からは、人々が彼女の姿を明らかに認識しており、彼女を避けるべきであると正確に知っていたことが見て取れる。何故ならば、この悪霊は子どもや乳児、妊婦といった人びとにのみ興味を持つのだが、この性質がイラクの農村地帯において、往々にして女性と妊婦を支配した「従属的」な性質に類似していると考えられるからである。
(3)に続く
(1)に戻る
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
( 翻訳者:金杉知紀 )
( 記事ID:47295 )